臨床美術士 活動レポート
2013年2月9日(土) 亘理町中央公民館
亘理町復興支援イベント:臨床美術ワークショップ(みやぎのあられ)
2月9日(土)亘理町中央公民館において 、みやぎのあられ株式会社が東京スカイツリーで販売する商品パッケージ(掛け紙)の原画を描く復興支援イベントで臨床美術のワークショップをおこないました。参加者は60名を超える大入り満員!!熱気が感じられるものとなりました。
この企画打合せの際、資料の中にあった写真に目が留まりました。その写真は「緑にはこんなにも多くの色彩があるのか」と感動するほど、幾重にも重なる美しい田園が広がり、その先には、ゆったりと水をたたえた穏やかな鳥の海の湾が悠々と一望できる亘理町の風景でした。私は、この写真から目を離せず、しばし、見入っておりました。
当初の企画では、「多くの方に亘理町の風景を描いてもらう」というものでした。
写真にあるこんなにも素晴しい亘理の風景。「この写真を生かしたい」という思いをもとに、共同制作「モザイク画を描こう!」を実施することになりました。
当日は本当に多くの亘理町民に集まっていただきました。セッションでは、子どもから大人まで世代を越え、線やタッチ、色合いといった純粋な表現要素を時間の許す限り楽しみ、その作品を一枚、一枚、繋ぎ合わせると…。不思議なことに絶妙な調和の中、独創的な一枚の作品が姿を現しました。・・・素晴しい!!
実施するにあったっては、いくつかの不安要素がありました。
使用する原画は、震災前のものであり、現在の風景とはあまりにも違いすぎます。この写真を使用するということは、その現実を多くの方々に突きつけることになります。もしかしたら写真の中に自分の家を見つける方もいるかもしれません。また、写真には鳥の海の湾から繋がる太平洋も写り込んでいます。今もなお「海」というものに漠然とした恐怖を感じる方も多くいることでしょう…。
このセッションに関わった臨床美術士たちは、そういった反応があることを覚悟し、全力で寄り添いながら制作を楽しんでいただけるお手伝いを行いました。
震災から2年が経過します。その方の人生を代わってあげることは誰にも出来ません。しかし、その方の辛い部分に表現を介して寄り添うことが出来るのは臨床美術士なのではないでしょうか!
今日、出会った多くの亘理町の皆さんの笑顔は、臨床美術の持つべき力が、まさにこれから必要とされるんだよ、と教えてくれているようでした。
*「3.11 復興支援情報サイト 助けあいジャパン」にワークショップの動画が掲載されました。
(下記のバナーよりご覧いただけます。)